今回の最初は、大阪府では先の敗戦まで唯一の神宮であった「水無瀬(みなせ)神宮」。そこから、前回に次はここに行こうと決めていて、当日のメインターゲットである通称苔寺(こけでら)と呼ばれる西芳寺へ。そして最後は、古建築ではなくて近代建築。日系アメリカ人で木工家具で世界的に有名なジョージ・ナカシマ氏の設計で、彼の多分唯一の建築作品である「桂カトリック教会」。前回無理して四つ回り、食べすぎてお腹にもたれるような状態になったので三つにしたが、これでも八分目どころかちょうど満腹といったところだった。
最初の見学会で国宝の茶室如庵を訪れ、二回目のも茶人片桐石州の慈光院が入っていて、これまでも毎回茶室を見てきた。今回も水無瀬神宮で「燈心亭(とうしんてい)」、苔寺にも「湘南亭(しょうなんてい)」があり、わたしも段々おもしろくなってきていて、今回はこの二つをもっとも楽しみにしていた。
まず最初の水無瀬神宮は、大阪府と言ってもほとんど京都との境で、後輩が住んでいるので知っているが、すでに電話のエリア局番も京都と同じ075だ。国宝の茶室「待庵」のある京都府大山崎の妙喜庵とは2キロも離れていない。
ここの燈心亭は期待に違わずとてもすばらしかった。ただ最初の見学会で行った如庵で中に入って座れた感激が強烈だったので、多少期待していったが、残念ながら外から観るだけだった。でもみんなにも資料として配った堀口捨己氏の解説も読んでいたが、コンパクトで(当たり前か!)凝縮された本当に宝石箱のようなすてきな空間であった。
何というか、茶室というのはいわゆる建築の「機能」が行為の「作法」として、そこにほとんど実体化しているのではないかと思われるほど強く感じられて、それがその空間に、極限にまで凝縮されたような構築性ときびしい緊張感をもたらしていると思う。
残念ながら燈心亭では撮影禁止で、下の写真はやはり国の重文に指定されている書院。江戸時代初期のものだが、おそらくは桧皮葺だった屋根が瓦になっているのが残念。この右手の奥に燈心亭がある。たまたま翌日はお祭りだそうで、書院でも花道の催しものをやっていた。あちこちに幕がかかっていたが、おかげで上にあがることもでき、薄茶の接待までいただけた。