
さあ、今年もいよいよ大詰め。恒例の年末の締めくくりを。
仕事では、以前の「住 真田山」に続くシリーズ第二作「住 真田山EAST」が夏の盆明けに竣工したことが一番大きい出来事だった。前のには、賃貸住宅のほかにオーナーのご自宅と不動産管理を業とするその会社(だるまや土地株式会社)の事務所も入っていたが、今回は全てが賃貸住戸。上の写真の露地を入っていくアプローチはよく似ているが、突き当たりに庭があった前作にたいし、今回は下の写真にある小さなラウンジのようなエレベーターホールを介して庭に接している。
置いてある家具はジョージ・ナカシマの有名なコノイドベンチと、その製作もした桜製作所デザインのテーブル。さすがに空間が引き締まり、高額にもかかわらず踏み切っていただけた施主には感謝の気持ちだ。実はジョージ・ナカシマ氏は、自分が社会に出て初めて勤めたレーモンド設計事務所の大先輩でもあり(もちろん直接の面識などないが)多少感慨深いものがあった。

施行してくれたまこと建設は、今や世界的な建築家となられた安藤忠雄氏の仕事を数多く手がけてきて、コンクリート打ち放しの建物をまかせれば日本一(もしかすると世界一?)と言ってもいい会社だが、今回も期待にたがわない仕事をしてくれた。ただ工程管理のまずさもあって、竣工前の最終局面で多少不手際があったもののそれは1階回りの仕上げのことで、コンクリートの素材自体はもちろん、全体的な施行についてもよい仕事をしてくれたと言ってよいと思う。
ここで打ち明け話を少しすると、まこと建設は、安藤忠雄氏の建物の評判もあってコンクリート打ち放しを数多く手がけているのでその職人たちもたくさんいる。でもやはり安藤さんの建物となると別格で、「安藤組?」とでも言うべき職人さんたちがいるようだ。前回は、最初からはっきりそうではないと聞いていて、まあ予算的にも厳しくそれで当然と思っていたが、今回は「安藤さんの手(型枠大工)が来てくれます」とはじめに聞いて、かえってこちらが緊張したのだった。確かに安藤さんからの発注が定期的に決まっているわけでもなく、その職人さんたちも安藤さん以外の建物を手がける機会もあって当然だが、聞いたときは多少面食らってしまった。
設計としてはあまり難しい仕事を要求はしていなかったものの、設計時点で「できれば・・・」と思っていたことも実現してもらえたし、何より現場の懇親会(飲み会)で同席して、断片的ではあるが苦労話しをいろいろ聞かせてもらったことはとても印象深い経験になった次第。最後に入口側の全体写真をあげておきます。ちなみに今日の全ての写真は、福澤昭嘉氏の撮影。
あと仕事で書いておくべきかと思うのは、かなり久しぶりに木造在来工法の住宅の設計を始めたこと。現在、省エネ義務化に向けて国交省がやっきになって講習会を開きまくっていて、ある程度自分の知識も改善してきていたつもりだが、具体的に現在の木造住宅のことを調べてみると、予想以上に変化(進化?)していることが分かってびっくりしてしまった。
まあ高気密高断熱の住まいというのは、建築家としてかなり前から、人に先駆けて手がけてきた自負はあるし、その利点については、省エネの観点以前に、感覚的に強く推奨したい思いを昔からもっているので、あらためて本格的に取り組んでみたいと考えている。そしてようやく年末ぎりぎりに仕上がった基本計画について、先日、施主には一応の了解をいただけたので、来年の展開を楽しみにしたいと思う。
さて仕事の話しだけで今年は長くなってしまった。今日はこの辺で。
