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松田靖弘のブログ

仕事とする建築のことや大学で教えている緑のことなどをはじめ、自分の日常の些細なことまで含めて気が向くままに書いていきます。

佐川美術館と円山公園

三日ほど前になるが、滋賀県の佐川美術館へ行ってきた。ヤマハのキッチン代理店の招待。佐川急便の記念事業で10年ほど前に作られたが、行くのは初めて。昨年だったか地下に奇抜で面白い茶室ができて、雑誌などでも評判になった。その見学会だった。人気が高くてあっという間に当初の予定人数は一杯になったようで、急遽枠を増やしたそうだ。設計関係で50人ほどが来ていたらしい。知り合いも数人来ていた。

確かに茶室の一連の空間は、これでもかこれでもかという感じの展開で面白かった。全体の設計は竹中工務店の設計部だが、質は高くて上品でも、やはり組織事務所だから冒険あるいはチャレンジという意味では物足りないところもある。でも、ここは茶室としてアイデアを主導した方がいるので、それにのせてもらって彼らも存分に腕をふるえたという感じ。ただし残念ながら茶室内の撮影は禁止だった。

最初の写真は、本館の中庭。浅い水面の中央に彫刻家の佐藤忠良氏の作品が立っている。「冬の像」という題名のリンとした少女の立像。展示内容は知らなかったが、館内にも佐藤氏の彫刻を集めている一画があり、久しぶりに氏の作品にゆっくりとひたることができたのは、自分にとっては余得だった。あとで女優の佐藤オリエさんが氏の娘さんだということも知った。
佐川美術館中庭

次は、そのあとで訪れた京都の円山公園の枝垂れ桜。あまりにも名高いが、咲いているところを見るのは初めて。少し肌寒い一日で、まだ三分咲きくらいだったが、おかげで人出は少なかった。あとで京都の知合いに聞いたが、年々やつれてきているとのこと。とにかく見た感じの印象は「凄絶」の一語。失礼だが、正直本当に化け物みたいな木だと思った。美しいといえば本当に、そしてあまりにもその通りだが、この下で陽気に盃を汲み交わすような気分には多分なれないだろう。
円山公園のしだれ桜

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春の始まり

ようやく春がやってきた。今日は日差しも明るくなごやかな日和で、昼食後少し裏の公園を歩いた。一枚目の写真はユキヤナギで、次は多分だがモモの花か。春は始まりで誕生の季節。少し前までは、ああ花が咲いたかというだけだったが、その「咲く」という、今までなかった花が華麗な姿を突然現し、それに出会うことに何ともいえない情感を覚えるようになった。まあ、年のせいと言ってしまえばそれまでだが、年をとらないと分からないようなこともあるということだろう。
ユキヤナギ2008

モモ?

次はコブシ。好きな花で、自分の仕事でもよく植えるがすぐ裏の一角にも一本あり、いつ咲くんだろうといつも思う。今日はまだ一部咲きだった。
コブシ2008-1

最後はヤマモモ。このあたりに街路樹としてもたくさん植わっている。二枚目はその花だが、豊穣な感じはしても、あまり美しいとは言えない。でもヤマモモには失礼かもしれない。確かに余計なお世話だ。触れると、ほこりのように花粉が舞った。でも一枚目で分かるが、花のある木と無い木がある。調べるとやっぱり雌雄異株だった。今までにも仕事で何回か植えたが、雌の指定をしたことはなかったので実がついているか少し心配になった。夏にこの花が実となり、これはなかなかおいしい。ここらで誰かが食べているのは見たことがないが、私も排気ガスまみれの感じがして食べたことはない。山では食べたことがあるが。もしかするととてももったいないことなのかもしれない。
ヤマモモ2008-1

ヤマモモ2008-2


スキー2008

去年に続いて今年もボーイスカウトのスキーに参加してきた。このところ仕事が忙しいのもあるが、いったん不参加のつもりで伝えていたのに、大人が足りないとのことで急遽参加を決めたので、前日木曜日の夜にあたふたと荷物を詰め、出発の金曜日はバス乗車の集合時間ぎりぎりまで事務所にいてチーフをつけて飛び出した次第。

場所は去年と同じ「国立乗鞍青少年交流の家」。昨年は寒かったが今年は打って変わって暖か。雪の心配もしたが、ゲレンデには十分残っていた。天候は滑った二日ともすばらしい日和だったが、そのためとくに一日目は昼からかなり雪がとけて湿ってしまい、重くて滑り心地は去年に比べるとあまりよくなかった。そしてそのためか二人ほど足をひねった人(スカウト)が出たのは残念だった。まあたいしたことはなかったようだが。

今年も顔ぶれは違うが3団合同。参加者は最終的に総勢54人にふくれ上がり、貸し切りバスは目一杯だった。夜行バスのツアーで助手席まで使うのは初めて経験した。行き帰りとも若いベンチャースカウトが何人か快く座ってくれたが、座席の背が小さいのでちょっとかわいそうだった。

最初の写真はゲレンデから西に見えていた白山の連峰。遠景はるかにかすかにけぶって見える悠々たる山並みは、眺めていると本当に吸い込まれていくようだった。

降りるのがおっくうだが、一度だけゲレンデの最高部まで上った。そこからは尾根を越えてこの反対側、東側の山並みのパノラマを目にすることができた。カメラを持っていなかったのが残念だったが、乗鞍のなめらかな鞍部が真正面に立ち上がり、ちょうど西日を受けて輝いているすばらしく見事な景色で、目にした一瞬息をのんだ。そしてそのずっと左手には槍ヶ岳などの連峰もくっきり見えていた。
白山の山並み

次の写真は、帰る間際の集合写真。子どもたちにとっては非日常的な本当に楽しい時間だったようで、裏方にとってはその感想が何よりのご褒美。無理をおして行ったかいがあったというものだ。
スキー2008

最後の写真は、夜にリーダーのミーティングをした談話室に置いてあった「花もち」。この地方の風習では正月にこういうものを作って、桃の節句などにもまた飾るらしい。お雛様もまだ脇に飾ってあった。擬木や造花は大嫌いだが、これは餅のせいだろうか、そういう人工的な嫌味もなくて、とくに紅い餅が何とも言えない微妙な色調でやわらかく、最初は素直に見とれてしまった。そして往時は貴重だったはずの餅を使うという年に一度の思い切ったぜいたくさを思うと、そこにこめられたであろう昔の人々の様々な願いや思いが徐々に伝わってきて、思わずカメラを出してきてシャッターを切った次第。
花もち