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松田靖弘のブログ

仕事とする建築のことや大学で教えている緑のことなどをはじめ、自分の日常の些細なことまで含めて気が向くままに書いていきます。

大安寺 護摩堂

いよいよ6月も今日で終わり。ブログの記事がまた一件だけになるのも残念なので、一枚の写真をアップしておこう。今週引渡しがあった奈良の大安寺というお寺の護摩堂だ。

こういう伝統建築を手がけることになろうとは、数年前までは本当に思ってもみなかったが、自分自身を振り返ってみると、若いときから伝統建築にも強い興味があったのは確かだ。伝統建築の木割り(現代語ならモジュール?でもない・・・)が、江戸時代の初めに、日本の史上初めて書物としてまとめられた「匠明(しょうめい)」という秘伝書があり、現代になって分厚い本文と解説からなる本になって出版されているが、安価でもないそれを無理して買ったのは、まだ自分が大学院生か就職後すぐのことだったと思う。
大安寺護摩堂

きっかけは、フランスに長く住んでおられた高田博厚氏という彫刻家の本を読んだことだった。建築の世界ではすでにモダンデザインが一般に普及しきっていて、それ以外のものは単に「古臭い」という一語で簡単に片付けられていた時代に、伝統建築も確かに「建築」であるという氏の主張に、心底からの強い感銘を受けたからだった。

まあフランスでは、例えばパリでも中心のシテ島にはノートルダム寺院が厳然と存在していて、ああいう荘重、壮大なゴシック(ロマネスク)建築を初めとして、歴史的建築に対しても、フランスならカルテジアン(意味不明かもしれない。デカルト的な思想をもつ人の意味)のフランス合理主義的な解釈がきちんと確立していて、その長い歴史をもつ展望の中での話しだったと、今では分かるが、若い私はそれに対して、ま正面から直接的な影響を受けたのだった。だから院生時代は奈良や京都の古建築行脚に時間を大いに費やし、今から思うと哀れになるほど真剣に立ち向かったような記憶がある。

だからこの護摩堂に対しても、設計の時間は大いにかけたし(まあ奈良市文化財課を通じた文化庁との折衝に時間がかかったからだが)、書くべきことはかなりたくさんあるように思うが、それはまたこれからおいおい書く機会もあるだろう。とりあえず今日は外観の写真一枚だけでご勘弁を

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六甲訓練登山

日曜日、六甲山へ登ってきた。ボーイスカウトの訓練登山で、今回は私とベンチャースカウトが二人。本当は先週のはずだったが、T君の都合で昨日になったのだった。でも変更できない人たちもいて、先週も同じコースで4人が先に登っている。前回の金剛山に比べて頂上の高さは200mほど低いが、登りだしの高さがまったく違い、今回は四時間かけて900m弱を一気に駆け上がったので、かなりタフな登坂だった。下の写真を見ても、さすがに気力がつきて私だけは少ししぼんだような気配がしている(途中の写真ではもう少し若い感じだったのだが)。

六甲山頂2012

8時すぎに阪急芦屋川駅を出発し、住宅地を歩いて登山口の「滝の茶屋」へ。写真はその途中で見たアジサイの花。最初は誰かが植えたのかもしれないが、砂防ダムの土手に密集するように咲いていて見事だった。
六甲のアジサイ


登山口から入ってロックガーデンを経て風吹き岩の広場までたどり着いて休憩。そこで標高450mくらい。9時半くらいだったから1時間半弱か。20分以上休んでから、ゴルフ場の脇の道を通って雨ヶ峠へ。この間1時間ほど。ここで最後の少し長い休憩をして一路頂上へ。頂上すぐ下の「一軒茶屋」に着いたのが12時前。茶店脇の自販機で水を補給しトイレも済ませ、すぐ上の頂上まで登って休憩と昼食。ここまでの山道脇にはウノハナがあちこちで満開だった。
六甲のウノハナ


下の写真は鶯(ウグイス 右手の枝先にいる)。
季節はずれという感もあるが、彼女もさすがに今頃となると練習を積んできていて、しっかりした声で「ホーホケキョ!」と鳴いていた。最初はどこにいるかまったく分からなかったが、見ていると飛び立ったので場所が分かり、しばらくして同じところに止まっているのを見つけたので、写真に撮った。
六甲山頂のウグイス


頂上からは一気に北へ有馬に向いて山を下った。この道は自分はもう三回目くらいだし、先週の様子も聞いていたので足を早め、1時間弱で有馬温泉まで降りた。いつも使う無料の足湯はおいて、お風呂が大好きなスカウトのA君の強い要望で温泉に入ることに。最初は金泉だけのつもりだったが、入って料金を見ると、金泉だけで650円だが銀泉とセットで850円とあり、当日の隊長格であるT君もA君の主張に押されて「はしご」することになった。
金泉


私はそれほど風呂好きでもなく、疲れてもいたのでまあ早く帰りたかったが、青年のベンチャースカウトとなると、彼らの意見も聞いてやらねばと思い従った。でもその結果は、・・・・本当にすばらしかった。最初お湯に漬かったときはまさしく極楽気分におそわれ、快感に気が遠くなりそうになるくらいのものであった。

まあ次の銀泉の方は、予想外に混んでいたし、私としては金泉だけで十分堪能していたが、2時間以上かけてゆっくりと温泉のはしごをした。こんな風呂三昧は生まれて初めての体験だ。入り口まで出てから、午前中の訓練登山が頭からふき飛んでしまったなとスカウトたちと話して大笑いし、有馬サイダーを買ってみんなで乾杯した。