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松田靖弘のブログ

仕事とする建築のことや大学で教えている緑のことなどをはじめ、自分の日常の些細なことまで含めて気が向くままに書いていきます。

2017大晦日

昨日の続きを。
昨年末は、最後まで本当に仕事に追われて大変だったが、今年は穏やかな年末年始になりそうだ。まあ去年が異常だった。

さて仕事としている建築での話題を。春に見学に行った愛媛県は八幡浜の日土(ひつぢ)小学校と、夏に行った奈良の旧少年刑務所が群を抜いてすばらしかった。ともに古く、前者は私の生まれたころの建築だから築60年ほど。後者の刑務所はもっと古く、明治41年(1908年)竣工というから110年ほど前だ。

日土小学校は、ずっと以前から何となく知っていたものの、四国の瀬戸内海側というだけでどこにあるかもよく知らなかったが、いろいろ偶然が重なって場所も知り、思い切って出かけてきた。戦後の木造建築では最初の、国指定の重要文化財。何より近年大改修を受けた後も、小学校として使われ続けているのがすばらしい。だから普段は入れないが、年に3回見学会を催していてそれに行ってきたのだ。

建築は日本的洋風木造とでも言ったらいいだろうか。全体がペンキ塗り。当時はすでに、おそらく木造など古くさく、耐震防火の面から施設ではRCや鉄骨が主流になりつつあったと思うが、その時代に、ほぼ純木造で工夫を重ね、地元の大工と木材を使ってこれだけの規模の建築を作り上げたことは本当に見事だ。さらにディテールにまでこだわりが強く感じられ、各所でアイデアにあふれているところが一番すばらしかったと思う。

奈良のも重要文化財指定を受けた建物だが、刑務所として廃止されたのを受けて、新たな用途を募ってホテルへの改修が決まっている。それで最後の見学会と銘打ったものに応募したのだった。まあ以前から見たいとは思っていた建物だが、申し込んだ見学会ははずれであきらめていたら、人気が高かったのだろう、急遽申し込み不要の一般向けの見学会をするというので行ってきたのだ。

ただ天気は晴れでも夏の日盛りで、おまけに行ってみたら長蛇の行列。炎天下3時間汗だくになって待たされたが、並んだかいはあったと思えるような建築だった。これはおそらく建築的にはほぼ純洋風の建物。鉄骨と木造の混合で、構法はおそらくヨーロッパ建築の直輸入だろうか。まあ放射状の配置とか刑務所という作りの特殊性の面白さも大きかったが、やった建築家の息吹が生きていて工夫が縦横に感じられるのが何よりすばらしかったと思う。ちなみにその建築家はジャズピアニストの山下洋輔氏のお祖父さんだ。

長くなった。最後に音楽のことを少し。
9月に一枚のCDを買った。マーラーの交響曲第五番。バーンスタインがウィーンフィルハーモニーを振ったもの。なかなか面白くて時々聴いている。とくに第四楽章は絶品で、これを聴きながら書いてきた。

さて今年も残すところあと数時間。

来る年がきっとよき年でありますよう

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今年も終わり

いよいよ、今年もあとわずかになった。恒例のしめくくりを

報道で一番印象に残るのはトランプ氏の顔だろうか。嫌と言うほど見せられたように思う。やかましく人騒がせというのは別として、確かに世界の潮流を大きく変えつつある。ただ無理も大きいように思うので、来年はどうなるだろうか。とりあえず賛同はあまりできないが、彼が出てきたことについてはヨーロッパの情勢といいそれなりの理由はあるように思う。

アメリカ建国時の、一時は世界を制覇したプロテスタンティズムの倫理と価値観がここにきて大きく力を失ってきたのだろうか。でも現代中国の持つ倫理ではそれに代われるわけもないし、イスラムにも自由と啓蒙はもとより、何より均衡と秩序が足りなすぎる。中東が第一次大戦時の火薬庫みたいになってきたが、欧米がやっかい払い?に強引に移植したイスラエルが、問題の困難さをさらに複雑にしている。エホバ?とアラーとキリストの父の三つ巴。時代が違うだけでおんなじ一つの神様のはずなのだが。

さて日本では九州北東部の豪雨がひどかった。前年の熊本地震の報道とも記憶が混ざってしまい、いたましい印象が強い。

明るい方では将棋での中学生の藤井君の活躍が印象に残る。年末にもう1人中学生活躍のニュースを聞いて忘れてしまったが、中学生というのが印象的。おそらくはまだ思春期の渦中だからだ。精神的激動の時代の現れのようにも思った。

仕事では、本当にいろいろとあったと思うが、結局は表立って書くことがあまりないようなのは残念だった。
来年に期待しよう。

さてここまではバッハのカンタータを聴きながら書いた。80番と147番。リヒター指揮のミュンヘンバッハ。とくに80番のフィッシャー・ディスカウの歌声は何度聴いてもすばらしいと思う。
続きはまた明日に。