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松田靖弘のブログ

仕事とする建築のことや大学で教えている緑のことなどをはじめ、自分の日常の些細なことまで含めて気が向くままに書いていきます。

2018初春

明けましておめでとうございます

2018年、平成30年の年が明けた。何となくいつにもまして寒い正月だったように思う。これはまあ体調を少し崩してほぼ寝正月で過ごしたために、あまり外へも出ず、こたつや寝床でごろごろと読書三昧ですごしたせいで、よけいにそう思うのかもしれない。ということで読書のことを。

読んだ本で一番よかったと思うのは、岩波少年文庫だが今江祥智氏の「ぼんぼん」。ずっと以前から読みたいと思っていた本なので、ようやくという感じでこの正月に格好の読書となった。感想は長くなりそうで省くが、戦時空襲の描写が本当に迫真的で、初めて少しは実感できたかと思ったくらい見事だったのは印象的。子ども目線というか、擬音の多用も含め描写が初々しくてまぶしいくらい。振り返れば悲惨な話しだが、渦中の人間のそれどころでない強い緊張と必死なまなざしが伝わってきた。余談としては最近、湯治で行っている和歌山の橋本が舞台の一つだったのは、偶然というより不思議なめぐり合わせさえ感じた。

あとまだ途中だが、司馬遼太郎氏の「韃靼疾風録」を面白く読んでいる。氏のこれまでのいわゆる歴史物とは違い、主人公の架空性が高い。氏の最後の小説だそうだが、「清」の勃興とおそらく(まだ途中だからよく分からないが)中国制覇までが背景だと思うが、物語の単なる背景というよりも、視線の強さからすると実はそこ(というよりその景色)をしっかり描かれたかったのではないかと思う。氏は確かご自身が満州に戦車隊として出征されたのではなかったか。読了すれば、氏のその当時の経験についても、少しは感じとることができるのかもしれないと思ったりする。

あと「中欧史」の本を図書館で借りてきて読んでいるが、東欧・西欧ではなくて北欧・南欧における中欧で、オーストリア、スイス、ルクセンブルク、オランダ、ベルギーの話し。これもまだ途中だが予想を超えて滅法面白い。やはりヨーロッパのことなどぜんぜん分かっていなかったと痛感。

さて上に書いた「韃靼疾風録」の前にやはり司馬氏の「箱根の坂」という後北条氏の始まりを描いた小説を読んだ。天下の険といわれた箱根の関のことが文化的地形的に初めてよく理解できたことも含め、とても面白かったが、その時からグーグルマップ(地形図)をあわせて見るようになった。おかげで「韃靼疾風録」や中欧史の本でも読みながら地形を確かめる癖がついたが、普通の地図で見ているよりもはるかに「立体的 肉体的」に分かるのがすばらしい。いい時代になったものだと本当に思う。

皆様にとっても本年がきっとよき年でありますよう

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