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松田靖弘のブログ

仕事とする建築のことや大学で教えている緑のことなどをはじめ、自分の日常の些細なことまで含めて気が向くままに書いていきます。

大響の第222回定期演奏会

またかなり間があいてしまった。

さて記事としては少し遅くなったが、先週の木曜日に行ったコンサートが、久しぶりになかなか面白く思ったので報告。

大阪交響楽団の第222回定期演奏会。曲目はアメリカのバーンスタインとロシア(ソ連)のショスタコービッチの交響曲で、2人ともまったく20世紀の人間だから、テーマが20世紀音楽の演奏会ということだ。バーンスタインはともかく、ショスタコービッチは世紀末の生まれかと思ったら生誕は1906年。政治が音楽にまでずけずけと文句をつけるような国と体制だったから、ある程度は保守的にならざるをえなかったのだろう。

休憩をはさんだ最後がショスタコービッチの交響曲5番。彼の音楽はコンサートで何回か聴いたことはあるがあまり覚えていない。プログラムの解説でマーラーの5番が引き合いに出されていたが、そちらの方が「進んでいる」ような感じがしたくらい。素人なりに曲の感想を言うと、ドイツロマン派の流れの正統ラインのかっちりとした造りで、構成は緻密でたくましく、堂々たる音楽にはまちがいない。でも20世紀なりにニュアンスも多様だが、激しいときにもどこか陰鬱な抑制のようなものを合わせて強く感じさせられた。だからCDを買ってまで聴きたいとは思わないか。

余談だが今朝、手元の吉田秀和氏の本を開いてみたら、ずっとあとの晩年の交響曲14、15番について「彼がこんなに深いところまで行くとは思わなかった」と書かれていて、いつか聴いてみたいと思った次第。

曲目では、前半の2曲目のバーンスタインの交響曲第2番の方が自分にとっては面白かった。ウエストサイドストーリーの音楽は知っているが、彼のクラシックの範疇の作品を聴くのは初めて。感想は、まあとにかく面白かったし、とくに最後の盛り上がりは独特なもので、率直にすばらしいと思った。

さて、コンサートを面白いと思った一番の理由をこれから書こう。それは2人の若手の人たち。
まず指揮者がジョナサン・ヘイワードという米国人で、1992年生まれだからまだ若冠26歳のアフリカ系。一見奔放に見えるほどの躍動感あふれる指揮ぶりで、引き締まった細みの肉体に、ぴったりあったフォーマルな黒の衣装が、俊敏な動作の激しさに映えて見ほれてしまった。もちろん音楽がよかったのがこの評の前提で、本当にすばらしかったと思う。

もう一人はバーンスタインの交響曲2番で、初演でのバーンスタインに代わって舞台中央のピアノをひいたアンドリュー・タイソンというピアニスト。プログラムに年齢は書いてなかったが、指揮者と友人らしいし、かなり若いのは確か。なんとも繊細な雰囲気だが、同時に若々しい息吹と強さを感じさせてくれる演奏で、アンコールでひいたスカルラッティのソナタも含め、なかなかのものだった。

10年後、この二人はどんな風になっているんだろうかと思った次第

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