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松田靖弘のブログ

仕事とする建築のことや大学で教えている緑のことなどをはじめ、自分の日常の些細なことまで含めて気が向くままに書いていきます。

奈良の古建築-9:円成寺-2

円成寺-3
円成寺の続きだが、今日はちょっと専門的な話しになる。下の写真は上の正面左手のカドの部分の軒(のき)を見上げたところ。「隅木(すみぎ)」がない。外観は入母屋(いりもや)の屋根の形だが、そうだとすれば普通は軒の部分は寄棟(よねむね)型になるので、カドの柱から写真手前方向の45度に支えの梁(はり:これを隅木という)が勾配に沿って出てきているはず。ここの軒裏だけを見れば伊勢神宮のような、もっともシンプルな切妻(きりつま)型の納まりになっている。

(入母屋、寄棟、切妻など、ここで説明すると煩雑なので、WEBで「屋根の形」とでも打って検索してください。難しい概念ではなく、一般用語にも近い言葉なので簡単に分かると思います。)
円成寺-4
でもこれを知ったのは、わたしも西澤文隆氏の「日本名建築の美」という本を帰ってからあらためて開いてのこと。隅木がないと書いてあるのを読んで、「ほんまかいな!うそやろ。」から、撮ってきたこの写真を見て、「ほんまや・・・。」となった次第。

さてこの写真で屋根を支えているようにみえる、屋根勾配に沿って規則的に並んでいる比較的細いたくさんの木材がある。カドだから左上方向と右下方向のニ方に、壁頂部の軒桁(のきげた)から延びているのが分かると思う。この部材を「垂木(たるき)」という。

でも、写真右が正面方向だが、左上にある側壁がわの垂木と、右手正面側、少し中に入ってからだが、そこに見える垂木とはかなり様子が違う。写真右下部分に見える垂木の方は、かなりピッチが細かい。これは「繁(しげ)垂木」と呼び、本格的な仏堂ではこれがスタンダードな様式だ。

それに対して写真上部、手前左側に下りてくる垂木はピッチがまばらで、しかもさらに細い部材が直交してその上に載り、同じくらいの間隔で水平に走っているのが分かると思う。この部材を「小舞(こまい)」と呼ぶ。こちらは近世書院では、軒裏のスタンダードの形式。

書院といえば住宅屋敷の発展形だから、その様式が混在しているのは面白い。さらに切妻型の屋根が基本になっているのは、仏殿としては見たことがなく、さらに不思議だ。

まあ、この本堂は重要文化財の指定を受けているが、円成寺には国宝指定のものがほかにいくつかある。建造物にもあり、それは奈良市内にある春日大社の古い社殿。たしか鎌倉初期のもので、春日造りのもっとも古い遺構だそうだ。今も続く伊勢神宮の式年造替のように、神社は定期的に建替えることが普通だったようで、その時代の不要になったものがここに移築されたそうだ。

今日はこの辺にしよう。次回も円成寺。
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仏堂

切妻型の仏堂としては野洲の円光寺本堂(鎌倉時代・重文)がいいですよ。
http://www.kaiun-goriyaku.com/25t-017.htm

五間堂 | URL | 2011年06月03日(Fri)22:41 [EDIT]