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松田靖弘のブログ

仕事とする建築のことや大学で教えている緑のことなどをはじめ、自分の日常の些細なことまで含めて気が向くままに書いていきます。

奈良の古建築-14:長弓寺の印象

外観写真が出たので、話をはさむことになるが一応見学会のことを書いておこう。

少しゆっくりした円成寺の山門を出て、門前に復元されている浄土庭園の池を回って駐車場に着くと、もう四時ごろだったと思う。長弓寺はとくに予約もしていなかったので、最悪行けなくてもいいと思っていたが、何とかぎりぎりでもたどり着けそうなので、一同車に乗り込んで、道を取って返し一路長弓寺に向かった。

着いたのはもうほとんど4時半くらいだった。もしかすると閉まって入れないかもしれないと気持ちがあせり、拝観者もまばらのようなので、どこにあるかもよく分からない駐車場を探すのはやめて、とりあえず門の前に車を留めさせてもらい、広い境内を早足で本堂に向かった。

やはり残念ながら本堂の扉はすでに締まっていたが、伽藍というか建物の建っている敷地には自由に入れたので、まあ外観はゆっくりと拝見することができた。

ただその感想を正直に書けば、自分としてもあまり好ましいようなものではなかった。あの断面図を見たときの何とも流麗で繊細な印象はほとんど感じられず、鈍調さと同時に、正面から見て左右の軒のそりなど、何とも時代がかった大げさな感じばかりが鼻について、はっきり言って落胆した。

私でさえそうだから、若い人たちは尚更で、そのあと車をおいてから生駒駅付近で反省?会というか飲み会をしたが、他の建物の話がほとんどで、あまりよい印象はなかったようだ。

ここの長弓寺の冒頭で内部空間のことも書いたが、内部も見ることができていたらどうだったろうかと考えた。日本の伝統建築では、内部空間の自立性が独特というのが、これからここで書こうとしていることなのだが、その意味では内部も拝観できたからと言って、あまり印象に大きな影響はなかったかとも思う。でもやはり扉が開いていれば、柱と梁のフレーム(軸組じくぐみ)でできている構造体がよく分かり、屋根だけに注目せず、全体にもう少し軽くて明るい感じをもてただろう。

ただあのときに感じたこの大屋根の重量感と異様さの強い印象が、その考えをまとめる大きなきっかけともなったので、その意味では、扉の閉まった外観だけで終わったのはかえって幸運だったのかもしれない。
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  コメント


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仏堂

密教五間堂で一番好きなのは若狭の神宮寺本堂ですね。
七間堂なら三井寺金堂がダントツです。
棟が結構短く、軒の反りやカーブが最高に好きなんですよ。
個人的には、長弓寺さんも嫌いではないですね。

五間堂 | URL | 2011年06月03日(Fri)22:47 [EDIT]


反応が遅くなりました

五間堂さん
コメントありがとうございました。かなり反応が遅くなってしまいましたが、一応コメントのお礼などを書いておきます。実は書いていただいた6/3付けコメントは、なぜか私の承認待ちになっていて、すぐにはサイトに表示されませんでした。先日の6/19に私がコメントを書いたときに、管理者ページでそれを見つけ、すぐに承認した次第です。まあかなり以前の記事につけていただいたので気づくのが遅くなったこともあります。

さて、日本の伝統建築についてかなりお詳しいようですね。何らかお仕事柄のつながりもあるのではと推測しますが、またいろいろとお教えください。伝統的な寺院建築は私にとっては、今まであまり縁が少なかった領域で、なかなか素直に向き合うのが難しいようなところもあり、書いていただいたお堂もまだ知らないものばかりです。このあたりが唐招提寺の金堂を若い頃理解したいと格闘した理由の一つでもあります。三井寺は、光浄院や勧学院はよく覚えていますが、金堂となると、見てはいるはずですが・・・。

松田 | URL | 2011年06月23日(Thu)17:03 [EDIT]