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松田靖弘のブログ

仕事とする建築のことや大学で教えている緑のことなどをはじめ、自分の日常の些細なことまで含めて気が向くままに書いていきます。

日本の色

昔、確か司馬遼太郎氏がモンゴル紀行の中で、モンゴルの草原に咲く花の色が日本のものに比べてとても鮮やかなのに驚き、そういえば世界の他の国々でもそうだったなと日本の花の色が比較的地味なことに思いあたる。そしてそこから日本古来の色文化の根の深さについて語っていた(ような)のを読んだ記憶がある。わたし自身も、ヨーロッパの近代建築などはあんなにも大胆で鮮やかにも美しい配色や色使いをしているのに、日本人はどうして今でもこうくすんだ色使いしかできないのだろうと落胆していたこともあって、この話はとても印象に残ったのだ。

藍(あい)色に藤色、鶯(うぐいす)色、小豆(あずき)色、茜(あかね)色、萌葱(もえぎ)色、江戸紫に生成色、群青にウコンなどなど。自然の色と言うべきか、日本の色名をあげてみるとみな確かにどこか渋くてくすんでいるようだ。昔は、それらを染めたりした原料のせいかと思ったりもしたが、司馬氏の文章を読んでから少し違う見方をするようになった。咲く花の色から違うとすればこれはしかたがないというか、美的感覚の質が違っても当然なのかもしれないと思ったのだ。伝統とは何かというと大げさだが、人間の歴史以前の自然の特性から受けついできたようなものなら、やはりそれなりに大事にしていくべきかと考えたりもする。
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