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松田靖弘のブログ

仕事とする建築のことや大学で教えている緑のことなどをはじめ、自分の日常の些細なことまで含めて気が向くままに書いていきます。

姉歯建築士-1

これだけ騒ぎになっているので、仕事柄少しは触れておかなければならないと思い、書くことにした。新聞では単に「一級建築士」となっているが、多分、主な業務は構造設計だと思うので、このあたりの建築業界の事情を少し。

この業界で専門家として立とうと思ったら、まずは誰でも大学で建築教育を受けるわけだが、多くは工学部で、たまに芸大のように美術や芸術学部に入っていることもある。工学部では、専門過程は四回生の初めには大きく三つの分野(意匠・構造・設備)に分かれて担当教官を選択し、以後はそれぞれかなり異なった道を進む。

「構造」へ進んだ人はいわゆる建物の安全性を保証する構造計算が主な内容で、「設備」は、光熱水に関する環境的知識を学び、工学的には照明や空調・衛生設備などの設計の訓練を受ける。この二つはいわゆる専門的な工学技術者を育てるところといってよいだろう。残る意匠はというと、まあその他すべてと言ってもよいくらい雑多な分野が集まっている。歴史など文科系的な要素や芸術文化的な要素も強く、学者にでもなろうとしないかぎり浅く広くの雑多な知識をしいれて社会へ出ることになる。

結果的に、初歩は全員一通り学んだはずだが構造・設備など技術プロパーの分野については、意匠の人間には多少高度なレベルになれば歯が立たない。だから同じ「一級建築士事務所」と言っても、構造や設備専門のところもあり、多人数の大きな事務所ならすべてをこなすが、中に入るとやはりそれぞれまったく別の部署ということだ。・・・続く
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