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松田靖弘のブログ

仕事とする建築のことや大学で教えている緑のことなどをはじめ、自分の日常の些細なことまで含めて気が向くままに書いていきます。

飛鳥園の写真展

小川晴暘と奈良 飛鳥園のあゆみ」という写真展に行ってきた。「-小川光三・金井杜道・若松保広-」というサブタイトルがついている。内容は主に、ここに名前の上がった四人の方々の写真作品の展示会だが、小川晴暘(せいよう)氏というのは、朝日新聞社におられたのが、書家で歌人の会津八一(やいち)氏のすすめもあって大正11年(1922)、今も仏像写真などで有名な飛鳥園を設立された方で、今年で没後50年を迎えられるのを記念して企画された展覧会。

場所は奈良県明日香村の万葉文化館で、展覧会は正式には今日からだが、昨日あった内覧会に招待されて行ってきた。奈良公園の国立博物館の北向かいにある、飛鳥園の事務所とギャラリーの建替えの設計をさせていただいたご縁から。午後の二時間ほどだったが、途中からは、飛鳥園在籍あるいはそのご出身で現在もご活躍中の、サブタイトルにある三人の方々による解説などもあって、ゆっくりと見せていただいた。

やはり先代の小川晴暘氏の作品が量も多い。白黒写真だが、切手にもなっている中宮寺の弥勒菩薩の写真をはじめ、有名なものが何枚もある。中でもこれは写真ではないが、巾何メートルにもわたる雲崗(うんこう)石窟寺院の記録画の展示があって、規模もあるがなかなかの圧巻(あっかん)だった。他に南瓜(なんきん)の画集もあって、これは筆致がすばらしかった。

当時使われていたカメラとガラス乾板も展示してあったが、ガラス乾板の大きさは「四つ切」サイズで、20センチx30センチくらいもあった。そんな原版から今回新たに焼かれた写真作品は、もちろん白黒写真でかなり大きなサイズだが、見ていて鳥肌が立つほどの精度、解像度。これには本当にびっくりした。当代の飛鳥園の社主で仏像写真の大家でもある小川光三氏もあとで、今の写真よりも精度が高いんですと解説で話されていた。

私はとくに、法隆寺の百済(くだら)観音像の写真の前で、しばらく釘付けになった。実物は昔、一度か二度拝観したきりで、今は厳重なガラスケースができて、その中に大事にしまわれているというのは聞いていた。だからもうお目にかかることもないだろうかと思っていたが今回、若かった頃、和辻哲郎氏の「古寺巡礼」を読んで初めて見に行ったときの感動を、久しぶりにまっすぐ思い出した。

明治の廃仏毀釈という荒波をくぐりぬけて、おそらくは生まれて初めて浴びた閃光のような眼差しに必死で耐えながら、それでも強く、あるがままの姿を自ら現わしておられる(ようにみえる)。だからこそというべきか、そこに一種の「恥じらい」のような感情がわずかに流れているように思えたのは、やはり根本に「祈り」の形象化ということがあるからなのだろうか。そんなことを雑然と考えながらしばらく前で佇んでいた。

同時に、本当の写真というものは「見る」ことにつきる、つまりこういう「眼」で「見る」ことはもう誰にも二度とできないのかもしれないということに考えがいたって、自分でもびっくりした。そしてだからこそ、それをこうして残していける写真と言う媒体は、やはりすばらしいものだとあらためて思った次第。
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  コメント


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ありがとうございました。

先日は内覧会にお越しいただきありがとうございました。
非公式でtwitterを管理している万葉文化館の村上と申します。
たくさんの方にこの展示を見ていただきたいと思い、みなさんにこの記事をご紹介したく、コメントさせていただきました。
松田さまの書いて下さった記事をフォロワーのみなさんにお知らせしてもいいでしょうか?



万葉文化館 | URL | 2010年09月24日(Fri)12:16 [EDIT]


こちらこそ

こちらこそわざわざのコメントありがとうございました。内輪の気楽な話のつもりで書いているので、お恥ずかしいような内容ですが、公開していただくのはもちろんかまいません。よろしくお願いします。

松田 | URL | 2010年09月24日(Fri)20:10 [EDIT]