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松田靖弘のブログ

仕事とする建築のことや大学で教えている緑のことなどをはじめ、自分の日常の些細なことまで含めて気が向くままに書いていきます。

弓道の試合

息子が大学で弓道部に入っている。京都の三十三間堂であった新成人のための「通し矢」のことは、前にここに書いた。でも彼も今や三回生になって中心的な幹部の一人として活躍しているが、今まで試合とかまでは見る機会はなかった。橋本知事にたたかれてばかりいる大阪府立大学に通っているが、弓道部は二部リーグ。今年のリーグ戦の本命は一部から去年落ちてきた京都大学で、もともと一部と二部ではかなり実力差があるそうで、まず二部の優勝は京大で固いやろうと思っていたようだ。

ただなんと、実は先日ここに書いた京大建築の90周年式典の日に、ちょうど京大で試合があったそうで、あとで同じ時に両方京大キャンパスにいたと分かってびっくりした次第。まあ弓道場は農学部の方らしいので、すぐ近くにいたわけではないが。もちろん試合は順当に負けて帰ってきた。

ところがそのあと、その強豪京大を新興の大阪市大が破って少し話しがややこしくなった。彼の府立大学も二部の強豪関西大学を破ったことで、優勝の目まで出てきたのだ。その市大に勝って、京大との再戦に勝てば、一部との入替え戦にまで進むことができる。そして大阪市大の弓道部はまだ歴史が新しく、今年も府立大学は二回戦って二回とも勝っているそうで、その市大戦が先週の日曜日にあるというので、その数日前の夕食のときに見に行く!と宣言してしまった。嫌がるかなと思ったら、余裕の表情だったので、否が応でも見に行かざるをえないはめになってしまった次第。

まあ府立大学のキャンパスも見たことがなかったので、前から一度行きたいと思っていたし、当日は天候もよくて見学日和だった。広いといううわさはずっと昔から聞いていたが、本当にゆったりしたキャンパス。建築はコンクリートに吹き付け仕上げという思い切りローコストのものが多くて、他の大学に比べると見劣りするが、スペースの使い方が贅沢で、何より緑が多いのが本当にすばらしかった。大木が林立していて、場所によっては森みたいになっているところもあり、正直、京大よりもずっといいと思ったくらい。こういう感じなら散歩して恋が芽生えることだってあるだろうなと「しょうむない」ことを歩きながら考えていた。

そんなことをしているうちに弓道場についた。聞いていたように観客席などはなくて、まったく弓道場のみの施設。脇を幅3メートルほどのグリーンベルトをはさんで構内道路が走っていて、そこから観る(見える)だけ。屋根は射手が立ち、後ろに審判がいる場所と、的のところにしかない。板床は前者のところにだけ張ってある。

さて、行く前は何となくシーンとして息詰まるような熱戦をイメージしていたのだが、とんでもなかった。行ったらちょうど府大が射る番で、四人並んでいる中で息子が一番奥にいたが、何ともすさまじい声があたりに充満している。何やねんこれは!という感じで、最初は違和感があったが、そのうち慣れてきて、やってる方は面白いかもと思いだした。

市大の番になっても、やはりかしましい。ただ、市大は的に当らないと言わないと決めているようで、最初の一本が当るまではまったくシーンとしていた。ただ言い出すと同じように思い切りうるさく、何を言っているのかまったくわからない。「わあわあ、わいわい」というくらいにしか聞こえない。

あとで聞くと、それなりに決まっているそうで、府大の場合は「しっかり行きましょう!」「がっちり行きましょう!」「じっくり行きましょう!」という三つしか基本的にはないそうだが、引いている以外の射手や応援も含めて口々に勝手に叫んでいるので、聞いているほうはまったく「ワーッ」と言う喚声くらいにしか聞こえない。市大は、府大の所でするときに対抗上叫ぶようになったそうだが、何を言ってもいいのだそうだ。まあほとんど違うようには聞こえなかったが。

ただ、私大など町中にあるようなところだと、そんな大声を出すわけにいかず、シーンとしてやっているところも多いそうだ。そしてそういう所へ試合に行けば、郷に入れば郷に従うで、府大もやはり黙って射るそうだ。

スコアは構内道路からは全く見えないのでまったく分からず、試合時間も4時間近くあると聞いていたので、一時間半ほど見ただけで帰ってきた。カメラを持っていなかったのが残念だし、あとで行くところもあった。でも緊迫した雰囲気や射手の一連の所作(とても静かで、あたかも輪唱のように各人がテンポをずらしながら演ずるが、流れるようでなかなかうるわしい)など観ていてとても面白かった。四人が組になって射手になり、それぞれが連続にずっと続いて射るので、観ているほうも相撲なんかより退屈しない。TV中継でもあれば見たいと思ったくらいだった。

でも残念ながら試合は負けてしまったそうだ。
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  コメント


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へー

剣道の試合も、僕らの時代は、良い打ちこみに対して、無言で拍手をする程度で、武道はそういうもんだと思っていました。
今は、弓道もそんな風に盛り上がるんだ…
武徳殿で弓道の昇段試験を見たことがあるけど、大学のよって、矢を射るまでの作法が違っているようでした。
剣道は一本化されてしまいましたが、弓道はどうなんでしょう?

湊山 | URL | 2010年10月25日(Mon)10:29 [EDIT]


コメントありがとう

静かな所作と書いたが、こっち(道路は的に向かって左側)からは、ほとんど後ろ姿しか見えなかったが、射る番でないときに、やはり口が動いているのが分かった時は思わず笑ってしまった。静かで堂々とした姿勢を保っているだけに、さすがにちょっと違和感があったね。

あとで息子に聞くと、あれは自分としてはあんまり好きじゃないと言っていた。その時は分からなかったが、丁寧語で叫んでいるというのがよけいおかしい。ただ確かに府大の場合はずっとわめいているので(射る寸前には静かになるが、ほんのしばらくのことだ)、メリハリのある市大くらいの方が好ましいかなとは私も思った。

作法については、初めて見たのであまり注意していなかったが、少なくとも最初に射る前の入場などの礼法は少し違っていたようだ。また聞いてみます。

松田 | URL | 2010年10月25日(Mon)20:49 [EDIT]