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松田靖弘のブログ

仕事とする建築のことや大学で教えている緑のことなどをはじめ、自分の日常の些細なことまで含めて気が向くままに書いていきます。

姉歯建築士-3

ただここで言っておかなければならないのは、構造設計家とわれわれ建築家とは拠って建つ倫理的な基盤が少しというかかなり違うように思うということだ。構造の場合は、「技術者の良心」と言うか大学などの学者先生に近いスタンスで、「倫理」というよりも間違いを許さない「潔癖さ」あるいはある種の「正義感」というような言い方がふさわしいように思う。もちろんこれについてはいろいろな人がいるのは確かだし、個人的な倫理は埒外にしているので、これを読んで怒る構造設計家や大学の先生がたもおられるだろうが、議論の主旨はご理解いただけるのではないかと思う。

前提とする法律の条文があって、そこから答えは数学的に導かれる。そこに曖昧な雑音が入る余地はないわけだ。ただ技術の常として、現実をどう理想化し計量化して計算していくかという難問があるが、構造の分野では学会もまじえてほぼ微細にマニュアルを決めてくれている。だから構造設計者にとっては、持てるテクニックを駆使して前提からの首尾一貫した明晰な過程をたどって答えを出すというのが、ほぼその職能の中核ではないだろうか。だから前に書いた「技術者の良心」はこの作業とも表裏一体の関係だとわかる。・・・続く
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