FC2ブログ

松田靖弘のブログ

仕事とする建築のことや大学で教えている緑のことなどをはじめ、自分の日常の些細なことまで含めて気が向くままに書いていきます。

四君子苑

今度の建築見学会で、あと書いていないのは「桂教会」だけとなったが、先週末に、続けていくつもすばらしいのを見てきたので、その報告だけとりあえず簡単にでも書いておこうと思う。

四君子苑-1

まず29日金曜日の午前中に行ってきたのが、京都の今出川河原町下ルにある「四君子苑(しくんしえん)」。茶人である北村謹次郎氏の数奇屋普請と住宅。脇にその蒐集(しゅうしゅう)品を展示する北村美術館があり、一般公開されているが、今回行ったところは年に二回、短期間だけ開かれる。建築設計に興味のある人なら、建築家吉田五十八(いそや)氏の設計で建て替えられたその住居部分は、「北村邸」の名で覚えている人もいるだろう。

でも行ってみて分かったのは本当にすごいのは数奇屋部分で、私でさえ名前を知っている名高い数奇屋棟梁、北村捨次郎氏(同じ苗字だが親戚ではない)の手によるもの。そしてこれは本当に文字通りの脱帽だった。庭と一体というか、ある意味での人工の極致というべきか、謹次郎氏との本当によい意味での高度の合作と言ってよいのだろうと思う。

庭に点在する石物でも重文に指定されたものまであり、内外の区分を越えて一体となった空間は醇コクで、ある意味での洗練の極み。建築もここまでやるのか!という感じで、ディテールが実感に直結しており、図面で感心していた吉田五十八氏のディテールなど、ほんの子供だましにすぎないとさえ思わせられた。おかしな言い方だがわれわれからすると、「手」が自分で具体的に図面を描いているような「なめらかさ」があった。

とにかく歩いて見ている間、あちこちで本当に心底うならされた。ここまでやらんでも、というのもあったが、普通の人にはまったく分からないような具合で、左官など他の職人たちの技量も完璧に飲み込んだ上での確信犯の仕業(しわざ)だから、こんなんちょっと手に負えんなあ、とため息まで出た。

四君子苑-2

でも残念ながら中は撮影禁止だった。
スポンサーサイト

  コメント


管理者にだけコメントを閲覧させることができます