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松田靖弘のブログ

仕事とする建築のことや大学で教えている緑のことなどをはじめ、自分の日常の些細なことまで含めて気が向くままに書いていきます。

蕪村の句

鳥羽殿(とばどの)へ五六騎急ぐ野分(のわき)かな

前回の最後に蕪村の句を置いたが、実はこの句とどっちにしようか大分迷った。この句は印象鮮明で、映画の一シーンどころか、まるごと一本にもつながるような情景的内容をもつと思う。ただこの方がより有名かもしれないが、蕪村の秋の句としてはあっちもなかなか有名だ。

でも分かりにくかった人もあったかもしれないと思い少し補足を。
あの句の「踊り」は季語で、つまりは「盆踊り」ということになる。盆が秋というと私もイメージがピンとこないところもあるが、たしかに海水浴ではクラゲが出るようになるし、そうかもしれないと思ったりもする。今では旧盆とはいえまったく夏の行事のように思ってしまうが、よく考えてみれば秋の方がやはりふさわしいのかもしれない。

まあとにかく、始まりは熱気をおびて夢のように楽しかった盆踊りも夜がふけて、踊り手も一人減り二人減り、いつのまにかもう4,5人しかいなくなってしまった。満月か暗さがつのる三日月か分からないが、それでもその朗々たる月光の下でまだゆるやかに踊っている人たちがいる。

ここからは人によって違うだろう。私は若い女たちだけで踊っているように思っていた。一種のロマンとして。でも若い男女半々くらいとすると一気に踊りがなまめかしくなり、疲れはあっても多少肩を張ったものになる。まあ句の雰囲気にはそぐわないかもしれないが。あと考えるとすれば年配の男女だろうか。余韻を楽しみ微笑みながらそれぞれ一人、月光の冥(くら)さに時おり顔を向けながら踊っている。
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