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松田靖弘のブログ

仕事とする建築のことや大学で教えている緑のことなどをはじめ、自分の日常の些細なことまで含めて気が向くままに書いていきます。

大フィルのブルックナー

昨日の夜は、仕事を早めに切り上げてシンフォニーホールへ行ってきた。大フィルの第457回 定期演奏会。指揮は尾高忠明氏。第一部は大好きなモーツァルトで、ピアノ協奏曲の23番。ピアノは若手の新人で、萩原麻未さんという初々しい感じの女性。そして後半は一転して大曲で、ブルックナーの交響曲7番というプログラムだった。

実は仕事の電話を始まる直前までしていて、第一部モーツァルトの第一楽章は、あまり聴くような心がまえができなかった。しかも始まってすぐに携帯の電源を切るのを忘れてマナーモードでもないことに気づき、あわててそうっと少しだけ開いて電源を落とした。またコンサートマスターが変わったので、どんな感じだろうとか考えながら見ていたり、あと曲があまりにポピュラーすぎて、すぐに気分が乗っていかなかったということもあって、音楽よりも音を聴いているような感じだった。

でも第二楽章の出だし、ピアノが思いっきり情感たっぷりに始まり、そこからは素直に引き込まれていった。第三楽章もはねるような溌剌とした気分があり、ピアノも含めて演奏はなかなかよかったと思う。とくに第三楽章、これはまあまったく私の勝手な思い込みかもしれないが、ピアノの元気が伝わって尾高氏の指揮ぶりも溌剌というか、元気よすぎるのではというような部分まであって、ちょっとほほえましかった。アンコールでドビュッシーの「月の光」をやってくれた。

さて後半のブルックナー。さすがに朝比奈さんでの演奏の評判がとどろいているからか、観客はいつにも増して多く、それも男性が多かった。だからわたしも期待したが、ブルックナーとなると手元には一枚もないし(レコードで四番はあったかもしれない)、有名なわりに正直今まであまりよく分からなかった作曲家の一人だ。だからほとんど生演奏でしか聴いたことはない(残念ながら朝比奈さんのは聴く機会がなかった)。

東京にいたころは、N卿などで少なくとも四番は二回以上は聴いたろうし、7番も一回くらいはあったのではないかと思う。あとよく覚えているのは、大阪へ戻ってからだが、カラヤンとベルリン・フィルの指揮者の座を争ったというチェリビダッケ氏が、ミュンヘン・フィルを率いてやはりこのシンフォニーホールに来たのを聴いたことがあった。もう二十年くらい前のことだ。このときにやったのが、確かこのブルックナーの7番で、これ一曲だけのプログラムだったのではないかと思う。でも曲目は記憶が少し不鮮明だ。指揮振りと演奏には堪能した覚えがあるが、曲についてはやはりあまりよく分からないという印象で、それ以外の記憶はおぼろなのだ。

さて昨日の演奏に戻ろう。結論から言うと私にとってはなかなかすばらしい演奏会だった。初めてブルックナーを面白いと感じることができたから。そしてもう一度聴いてみたいと思う気持ちになった。とくに第二楽章を。

尾高氏の指揮は、よく姿が見える席だったということもあるが、とてもしなやかで、曲調からすると変な言い方かもしれないが、とても平明でいて、きめがこまかく、絹の肌触りを思わせるような印象さえあった。さらに変な表現をすると、先のチェリビダッケ氏のような演奏を、もしレーシングカーの最高峰であるF1のような猛烈な走りとすれば、昨夜の演奏は、公道を走る高性能で高級なスポーツカーの乗り心地のようだった。

まあ素人の音楽談義はこれくらいにして、あと私にとってもう一つ昨日の演奏を聴いてよかったと思うことがある。それはブルックナーを聴いて面白かったので、それならやはりワーグナーをあらためてぜひ聴いてみたいものだと思ったのだ。そこからさらに歌劇も。R・シュトラウス、プッチーニ、ヴェルディやビゼー・・・etc。でもさすがにもう機械に向かって聴きたいとはあまり思わない。まあ思い続けていれば、また機会も出てくるだろう。
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