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松田靖弘のブログ

仕事とする建築のことや大学で教えている緑のことなどをはじめ、自分の日常の些細なことまで含めて気が向くままに書いていきます。

金剛山のブナとシャクナゲ

金剛山のブナ林

今日は金剛山の登山に行ってきた。またボーイスカウトだが、自分自身、金剛山に登るのは初めてで、ちょっと楽しみにしていた。天気予報では市内は曇りの予報で、まあ年長のベンチャー隊だから、雨でも行くことになっていたが、河内長野駅ではすでに降っていて、登山口でバスを降りてすぐにカッパの上着を着込み、驟雨(しゅうう)を浴びながら登っていった。まさに春雨(はるさめ)というような、柔らかくて繊細な、やさしい雨がずっと降りしきる道中だった。

登りは比較的きつい登山道をとったが、途中からはずうっと階段ばかりなのには辟易(へきえき)した。おかげで一時間半ほどで頂上までたどりついたが、あまり体調のよくなかった私にはけっこうきつく、スカウトに置いていかれそうになって、歳(とし)を実感させられた。ようやく山上に着いたあたりで雨が少し激しくなり、一帯はこの日がさくら祭りとかで、たくさんの登山客で賑わっていたが、われわれは早々に下山した。

でも山上付近は深い霧の中で、何とも幻想的な世界だった。さらにもうすぐ山上というあたりまで来ると、回りの森の様子が変わり、関西では珍しいブナ林になっているのに気づいて、いっそう情感が深まった。やはり千メートルを超えると確かに下界とは少し雰囲気が違うように思う。そしてこのあたりまで登ると、まだサクラも散り際で、葉は出ていても花の残っている木もたくさんある。またブナは寒いところの木だからか、すでに新緑の柔らかい葉に包まれていたが、他の落葉樹はまだまだ裸で、葉さえ固い蕾(つぼみ)のものが多かった。

金剛山のシャクナゲ

ただその中で常緑のシャクナゲだけはちょうどほぼ満開。深い霧の中、幻想的な雰囲気をまとって林床のあちこちに咲きほこっていた。最近では庭木でもよく見るが、あれは西洋シャクナゲで、ここで見られるような日本の種類は、平地では難しい。だから昔は名前を聞くだけでもちょっと神秘的な感じがしたものだ。そして花は大ぶりでも、西洋シャクナゲとは違い、どこか淡く、清楚(せいそ)で高雅な雰囲気があり、ある種の日本美のエッセンスのようなものを感じとることができたように思う(もちろん高山の森林の中、という舞台の持つ意味も大きいだろう)。

山を下り、バス停の近くまで来てやっと雨が上がり、カッパを脱いだが、大半は霧と驟雨に包まれた活動だった。まあ山上のブナ林と幻想的なシャクナゲの花に堪能できたことを土産(みやげ)にして、なんとか無事帰ってきた次第。
金剛登山2012
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