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松田靖弘のブログ

仕事とする建築のことや大学で教えている緑のことなどをはじめ、自分の日常の些細なことまで含めて気が向くままに書いていきます。

関西フィル第241回定期演奏会

久しぶりにバッハの音楽を聴いている。
実は今日、昼から日本橋に、前から買おうと思っていたコードレスのキーボードを探しに行った。いつも行く店でちょうど一つ特価で出ていたので迷わず手に取ったが、そのついでにしばらく前に壊れてしまったPCのスピーカーも買ってきたのだ。安物で十分と思っていたが、在庫処分でこれぞお得な特価品というタグが付いていたのに釣られてそれに決めた。ただ予算は少しオーバー。

で、事務所に戻ってきてスピーカーの試聴がてらCDをかけたという次第。まあ今までのオンボロ(失礼)君に比べると高音が通って、ちょっと見違え(聞き違え?)るくらいの音で、まあ満足。

さて音楽の話題になったので、少し前(9/7)にあった関西フィルの第241回定期演奏会のことを書いておこう。実は書くつもりで事務所にパンフレットを持って来ていたのだが、忙しくてほったらかしのままになっていたのだ。その表紙に載っているタイトルは「音楽監督オーギュスタン・デュメイ presents!」となっているが、来日の少し前に街頭でころんで怪我をされ、まあ高齢のせいもあるのだろう、直前の公演キャンセルで、代役による演奏会だった。まあ怪我は大したものではないそうなのは何よりだったが。

でもプログラムの曲目は当初のままで、代役に立ったのは、指揮者としてヴォルフラム・クリストというドイツ人のチェリスト。ただデュメイ氏は指揮者兼ヴァイオリニストなので、もう一人、二村 英仁という人がヴァイオリンのソリストとして入った。

プログラムの最初がドヴォルザークの「ロマンス」で、二曲目がメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲ニ短調。メンデルスゾーンのこの曲目といえば超がつくくらい有名なのがあるが、そのホ短調のではなく、これは13歳のときの作品で滅多に演奏もされないそうだ。

前半のこの二曲では二村氏が主役だったが、見たところ30代か40代前半か。さて彼の演奏はというと、何よりもまず「音」そのものがすばらしくて、弾き出されてまもなくして、本当に舌を巻く思いがしたほど。その繊細でため息が出るくらいの柔らかさは絶品といってもいいくらいで、あくまで澄明でいて同時に深い情感も十分に感じとることができる。全体として迫力という点では多少欠けたかもしれないが、それを補ってあまりある豊潤な演奏だったと思う。あとで知ったがやはり楽器はストラディバリウスだった。

さて休憩をはさんで後半。これも珍しくビゼーの交響曲第1番。解説を読むと彼の17歳のときの作品で、他にはまともな交響曲は残っていなくて、これがほぼ唯一のものだそうだ。

この演奏は本当にすばらしかった。

関西フィルというのは本当はこんなにも鳴るんだ!と、当日の指揮と演奏には率直に脱帽した。また曲そのものも本当におもしろく、こんなのを17歳で書き上げてしまえば、あとはどうするんだろう?というくらいのもので、以後オペラという総合劇に活動の場を移して次々に才能の花を開かせたのも当然か、というようなことを思ったりした。

ただ、最後に珍しくオーケストラのアンコールをやってくれてびっくりしたが、同じ曲の第四楽章を再演されたので、これはちょっと残念だった。まあこういう生の演奏会はまさに「一期一会」なのだから、せっかくの感動にちょっと水を差された感じがした。とてもよかっただけにかえって残念。

さて、今回は曲目もそうだが全体の構成自体が珍しいプログラムで、何か問題意識を感じさせるような内容だった。とくに関西の演奏会ではこういうのは珍しいと思うので(私が知らないだけかもしれない)、あえてデュメイ氏の企画に乗った関西フィルの意気は大いに買いたいと思う。

ただデュメイ氏が出られなかったのは本当に残念だった。元の副題で「~メンデルスゾーン、もうひとつの顔~」と入っているのだが、そのことについては、今回はあまり理解することができなかった。それでも彼のキャンセルでかえって奮起したのだろう、全体としては、なかなか力のこもった、おもしろくてすばらしい演奏会だったと思う。
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