松田靖弘のブログ

仕事とする建築のことや大学で教えている緑のことなどをはじめ、自分の日常の些細なことまで含めて気が向くままに書いていきます。

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菩提樹

シナノキの街路樹-1

上は非常勤講師を勤めている奈良の帝塚山大学にある並木の写真。

キャンパス中央部の「鳩の広場」に面して一段高いところにある通路脇の街路樹で、左手突き当たりにある図書館に向かう通路だが、広場を見晴らかす位置にある。樹種はシナノキだが、造園樹木としては珍しいと思う。建築デザインに興味のある人なら、若手建築家の手がけた住宅などの内装で、シナベニヤという材料がよく使われているのをご存知かもしれないが、その材料となる樹木だ。

ちなみに私の担当している講義は「緑と空間デザイン」というタイトルで、造園植物の紹介を初めとして、庭園史などもからめながら建築家から見た造園デザインについてお話しする内容だが、その資料の一つとして、キャンパスの造園図面を毎年学生たちに配布している。実は私もその図面を見てこの街路樹がシナノキと知ったのだが、キャンパスの一番目立つ場所の並木としてどうしてこの木が選ばれたのかずっと不思議に思っていた。

シナノキは落葉樹で、紅葉はするがモミジやイチョウなどに比べれるとあまり鮮やかなものではない。樹形は悪くないが花も目立たず、つまりはあまり「華」のある木ではない。造園樹木としてはそれほど人気がないだろうと思う。だから不思議だったのだが、最近になってようやく腑に落ちるようになったので、書いておこうと思う。

シナノキの街路樹-2

このシナノキの近縁というか同じ仲間にセイヨウシナノキというのがある。ヨーロッパでは街路樹としても普通に見られるポピュラーな木だそうだ。ドイツ語では Lindenbaum と言う。この名を聞けばクラシック音楽を好きな人ならご存知だろうか。日本語では「菩提樹」となり、シューベルトの名高い歌曲集「冬の旅」の、その中でももっとも有名な曲の名前だ。

そして日本人なら連想はさらにそこから飛躍する。仏教の開祖お釈迦様が、この木の下で悟りを開かれてその名(菩提樹)があるということに。ただ残念ながらインドの気候は違いすぎるのでダイレクトにはつながらない。詳しくはウィキペディアにまかせよう。→ ボダイジュ

まあそういう思いの下でこの木がここで選ばれたのではないかと推測するが、そうであれば、大学のキャンパスのシンボルツリーとしてなかなかふさわしく、知ったときは少し胸が温まる思いもした。で、今日の講義でそんな話もしてきたのだが、どうやら最近の小中学校の音楽の授業ではこの曲はとりあげられていないようで、私たちの歌った唱歌の近藤朔風氏の詞を見せながら下の絶唱を聴かせても、知っている学生は皆無だった。とても残念に思った次第。

菩提樹 (歌唱 ヘルマン・プライ)
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