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松田靖弘のブログ

仕事とする建築のことや大学で教えている緑のことなどをはじめ、自分の日常の些細なことまで含めて気が向くままに書いていきます。

住 真田山 クロス

先日現場の報告と書いた建物について、もう少し書いておこう。

正式名称は、「住 真田山(じゅう さなだやま)」と言う。ただずっと現場の仮囲いの壁に貼ってあったパネルでは、「(仮称)真田山パークサイドフラッツ」。確認申請書などはこの名前で、最初に名前が決まらなかったので、私が適当につけた。まあ自分でもちょっと長ったらしいとは思っていたし、施主夫妻から「住(じゅう)」という名前を初めて聞いたときには多少違和感があったものの、徐々になじんできた。

9階建ての建物の中身は3階から7階までが賃貸住宅で、8・9階がオーナーの住まい。1階はアプローチと車庫だけで、2階はオーナーの事務所が入る。賃貸マンションというのは、東京のレーモンド事務所時代の最後に小さい現場をまかせていただいたものの、まだ若い二十代最後のことで、それ以来のことになる。

だからいろいろと初めての経験みたいなところもあって苦労したが、今日は内装のクロスについて感想など少し書きたい。

先に書いた仕事を最後に東京のレーモンド設計事務所を辞めてからヨーロッパ周遊旅行をして帰阪したが、その後9年勤務した美建.設計事務所や独立後の仕事も、大型のいわゆる「委託住宅」が多く、クロス貼りの仕上げはあまり使わなかった。自然素材のものが基調で、クロスは限定された子ども室などで使うだけ。素人でも気軽に選ぶことができ張替えも容易で比較的安価。つまるところ、かなり「安易」な仕上げという意識がある。

一方、建売やハウスメーカーなどの住宅では、クロスの選択は施主の担当。適当なアドバイスはしてくれるものの、メーカー側は選択の責任は一切負わない。もしかすると分厚いクロスの見本帳を前に途方に暮れた方々も少なくないのではなかろうかと推測する。自分としてはそういう「素人」が選択した全国にある無数の建売住宅の「無難な」ばかりの内装を想像してみると、多少残念な気はする。

ただ今回の仕事ではクロスについてそんな気楽なノリではいけないのは分かっていた。壁天井のほとんど全てがクロス貼りで、誰でも選べる気軽な材料だけに、自分は何なのかというのが問われる場面ということになるからだ。だから初めからかなりのプレッシャーを感じて取り組んだ。間接照明もあるので、選定にはかなりの時間とエネルギーをかけ、最後は頭の芯がしびれてふらふらになるくらいだった。

結果は、一般の方はもとより、プロの方々も含めて概ね好評のようで、何より自分としてもまあ及第点をつけられたので、本当にほっとしている。
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