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松田靖弘のブログ

仕事とする建築のことや大学で教えている緑のことなどをはじめ、自分の日常の些細なことまで含めて気が向くままに書いていきます。

入院

先日、某病院に4日ほど入院した。まあ命に関わるような事情はなく、そう急ぐわけでもなかったが、いずれするならということで踏み切った次第。ただ入院するという経験自体が、自分にとっては初めてに近いもので、行く前には多少ワクワクした。入院中に読む本をいろいろ考えるのもなかなか楽しい経験だった。

初めてに近い経験と書いたが、実は昔一度だけ入院の経験がある。小学校1年か2年生のときのことで盲腸ではないが、同じような手術での入院だった。一ヶ月くらい入院したような記憶があるが、ちょっと大げさすぎるようにも思う。年齢が年齢だから、記憶がいつか増幅してしまったのかもしれない。

ただ、そのときのことで鮮明に覚えている記憶がある。それは「日の丸」という少年漫画雑誌を読んだこと。鉄腕アトム、鉄人28号、忍者影丸などが掲載の「少年」という一番人気の月刊詩は多分読んでいたが、「日の丸」となると書店で並んでいるのは見ていても、お小遣いの関係で読んだことはなかった。それを入院という特別な理由で買ってもらえたのだった。

なぜそんなに覚えているか自分でも不思議なのだが、その号の冒頭に掲載されていた漫画が雑誌と同じ名前の少年が主人公で、すごく細長く背の高い体型の子どもなのだが、その子が通学途中、その日の朝食で、お母さんに目玉焼きを二つ(三つ?)も作ってもらえて平らげたことをすごく喜んで自慢しているのがとても印象的で、そのシーンを今でも覚えているのだ。卵がぜいたくという感じが自分には不思議で、新鮮に思ったからかもしれない。思えば、まだ市場に行くと、手回しの楽器で軍歌を流す包帯と軍服姿の傷痍軍人たちの姿を見ることがあった。戦後15年以上過ぎていたが、大人の人たちには、まだ傷跡や貧しさの記憶がしっかりと残っていたのだと思う。

今調べてみると、たしかにそういうような漫画があり「日の丸くん」というタイトルだった。でも雑誌自体は1963年2月で休刊になっている。その時点で私は七歳になったばかり。おそらく自分が読んでまもなくのことだと思う。

さて現在に戻ると、今回の入院で最初に読んだのは、前から読みたいと思っていて今回の入院に向け買っていたノーベル賞のカズオ・イシグロ氏の『日の名残り』。いい小説だったと思うが、結局、読了できたのはこれだけ。あと古代ギリシアの「イリオス」など、こういう時でないとなかなか読めないと思う分厚い文庫本を数冊持っていったのだったが。
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  コメント


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本が読めるぐらいだから、まあ、大丈夫かな?

新平 | URL | 2018年06月09日(Sat)20:42 [EDIT]


失礼しました

久しぶりですね。読んでくれる人はいても、もはや書き込んでくれる人はいなくなったと思っていたので、うっかりして気がつきませんでした。
昨日が最後の健診で、ほぼ全快のお墨付きも出ましたが、地震のおかげで九時の予約に行けず、結局1日仕事になりました。薬局に行ったら薬剤師が1人しかおらず、1時間待たされたし。けっこうへとへとでした。

松田 | URL | 2018年06月19日(Tue)17:41 [EDIT]