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松田靖弘のブログ

仕事とする建築のことや大学で教えている緑のことなどをはじめ、自分の日常の些細なことまで含めて気が向くままに書いていきます。

村野藤吾パネル展

また展示会のことですが、先週、もう何年も前に亡くなりましたが、建築家村野藤吾氏の展覧会があって行ってきました。日本一の建築家といってもおそらく誰もが当然と思うような方であり、設計された建物も傑作と言われるものがたくさんあります。

2023村野展
日時:令和5年11月15日(水曜日)~11月28日(火曜日)10:00~20:00

ただ自分にとっては、かなりの大先輩ですし、建築写真の本などは持っていますが、それほど踏み込んだ形では知らなかったように思います。でもいわゆる「近代建築」の機能的で合理的と言われるような角ばった四角形の建物とは少し違って、歴史的な様式建築までも自由にとり入れた、どこか柔らかくて気品あふれるデザインだとは感じていました。

最初に行ったのは書いたように先週で、会が始まった翌日でしたが、実は今日もまた再度見てきたのです。展示会としてはかなり小さく、量も大したことはなくて写真が主ですが、自分にとって圧倒的だったのが、東京にある日生劇場が入っている「日本生命日比谷ビル」の工事用の実施図面。大きな外壁の部分詳細図でした。外観の材料がやさしく柔らかい雰囲気で、それを微細に組み上げられた彫刻的な形や、目地仕上の形状などの詳細がよく分かって、本当にしばらくの間、見入ってしまいました。

帰ってからも頭からはずれず、場所が近いこともあって、ついにもう一度行こうと週末から思っていたのでした。実は先週行ったときはよく見ていなかったので、外観の材料がまさか石とは思わず、鉄筋コンクリートの小叩き仕上のようなものと勝手に思いこんでいました。現代建築でのああいう石の使い方は、私の知っている限りですが、村野氏の作品を別にするとないと思います。ですので今日、高価な花崗岩の万成石(マンナリイシ)のムク材だと分かったときには、本当にビックリしました。今ではもはや作れないようなすばらしい傑作建築だとあらためて感じた次第です。

ただ建築関係ではない一般の方ですと、上に書いたようなことはあまり分からないかもしれません。でも村野氏は人間のスケールにすごく気を使い、手で触るところにも心をこめてデザインされていて、金物の実物なども見られますので、もうそう長くないですが、一般の方にも見ていただいて楽しいと思います。

ただ上六の近鉄デパートの2階という分かりやすい場所ですが、フロアのかなり奥まったところにあって、部屋の入口も分かりにくく、店の人に聞く方が早いと思いますので、行かれるときはお気を付けください
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