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松田靖弘のブログ

仕事とする建築のことや大学で教えている緑のことなどをはじめ、自分の日常の些細なことまで含めて気が向くままに書いていきます。

「作家たちのモダニズム」

コメントで少し書いたので、ついでといっては失礼だが、この機会に紹介しておきたい。本のタイトルは表題の通りだが、「14 Architects/建築・インテリアとその背景」という副題がついている。前に書いた「近代日本の作家たち」の姉妹本と言ってよいだろう。同じ出版社で、同じように主要著者が武庫川女子大学の黒田助教授。2003年2月の発刊だからちょうど二年ほど前になる。

内容も同じようにまあ初心者向けだが、こちらで取り上げられているのは欧米の人ばかりで、一読すれば近代建築運動の概要を知ることができるというような具合になっている。大学の教科書で使われていたりするようなので、建築系の学生なら知っている人もいるだろう。

さて、近代建築の運動が、過去を断ち切るためにいかに革命的で、同時に、原色が荒れ狂うあきれるほど多彩なものであったことを、とくに若い人たちにはもう一度再発見してほしいものだと本当に思う。つまりは現代の淡彩色になってしまった建築デザインの世界などはそのしぼんでしまった末裔にすぎないことを把握して、あの熱いマグマから新たに汲みあげてくるべきものを見つけてほしいということだ。

そしてまた、もちろん建築の革命は一部分であって、その背景には人間の在り方にまで深刻な影響を及ぼしたような、大きくて劇的な精神的変化がこの時代(1900年の前後50年くらいか)にあったということも、ぜひ同時に知っておいてほしい。

中心あたりにいるのは誰だろう。マルクス、フロイト、アインシュタイン、絵画ではセザンヌ、ピカソ、あとは知らない・・・。まあ広い知識もないのにこういうのはあまり書くべきではないかもしれない。ただしもちろん建築なら分かる、ル・コルビュジェとミース・ファン・デル・ローエの二人だろう(もちろん彼らだけでやったわけでは毛頭ない。彼らは果実を見事に摘み取ったということだが)。

そして彼らが地球を一周したとするならば、それ以後われわれは今までいったい何キロ進んだかというくらいの違いがあるというほかない。以後は技術的な成熟の期間であったと言えばそれまでだし、その営為を否定するつもりもないが、もはやバリエーションの建築にはあきあきしたというのが批評家としての率直な私の感想だ。ただし私も創作家なのだからこれはまた何をかいわんや・・・。
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