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松田靖弘のブログ

仕事とする建築のことや大学で教えている緑のことなどをはじめ、自分の日常の些細なことまで含めて気が向くままに書いていきます。

リヒテルとひろ作

久しぶりに音楽の話を。

今聴いているのは、ヘンデルの協奏交響曲。カラヤン-ベルリンフィルのもので、昔から好きな曲と演奏だ。かけたのはCDで3枚組の二枚目。このところあまり音楽を聴いている時間はないが、ここしばらくはこれを出して時々かけている。やっぱりいいなと思ってここに少し書く気になった。

CDで聴くとなると最近はなんとなく、大好きなモーツァルトも含めベートーベンなどロマン派以降の曲はあまりかけなくなったように思う。これらは生で聴くなら今でももちろん大歓迎なのだが。で今も、CDで限定するとしたらバッハとヘンデルの二人だけでもいいかもしれないな、などとぼんやり考えていた。

閑話休題
音楽のことを書こうと思ったのは、もう一つ理由があって、先週の日曜日京都へ出かけた。目的はエジプト考古学者の吉村作治氏の講演会が京都駅近くであって聞きに行ったのだ。テレビでも有名な人だし、さすがに話はおもしろく、業績には目をみはるようなものがあったが、多少残念だったのは学者という感じがあまりしなかったことだ。最後の「狛犬はスフィンクスです!」というオチには、口があんぐりあいたままになった。

さてそれから四条まで足を延ばし、いつもの先斗町のひろ作へ。滋賀の石山にいる息子も合流した。飲んでいてふと目をやるとカウンターの中の棚に小さな額があり、アルファベットの文字で書いたサインが入っている。珍しいなと思って聞くとなんとピアニストのスヴャトスラフ・ リヒテル氏のものだというのでびっくりした。手元で見せてもらい、サインの日付は忘れたが最後の来日公演のときと言うので、今調べると1988年のことだ。73歳で、10月23日に京都公演があったので、そのときのことだろう。

京都の花街もバブル崩壊後大きく様変わりして、先斗町のひろ作も昔からは客層が大きく変わったが、以前は有名人もかなり来た店だ。華やかだったころはそれほど知らない私も雑誌やテレビで見る画家や作家たちなどと同席した覚えがある。でもこの店はサインはもらわないことにしていて、今まで誰からももらったことはないが、この時だけは行きがかり上書いてもらうことにしたとのことだった。まあ花街の矜持ということもあるのだろう。今までどこにあったんやと聞くと、いつもある「ピンちゃん」の肖像画の下に隠してあったとのこと。聞いてからちょっとため息が出た。

ついでにひろ作のこぼれ話をもう一つ。二年ほど前になんと指揮者の小澤征爾氏が来たとのこと。二人連れで、もう一人は作家の村上春樹氏。まあ小澤氏はテレビでも顔が売れているし分かったのだろうが、村上氏となると顔はファンの私でもあまり知らない。会っても分からないだろう。小澤さんが飲みながら一生懸命ほのめかして、ようやくせっちゃんにも分かったらしい。「ノルウェイの森」のことを話したとのこと。

まあこのときは「つて」で来たわけではなく、たまたまぶらっと入ってきただけのようだったが、狭いだけに京都は本当に奥が深いと痛感した次第。

追伸
小澤氏のことでは自分も少し思い出がある。東京時代、西荻窪に「グレル」という飲み屋があって、時々行った。小さいながらそこも作家たちが出入りするような店だったが、あるとき年配の女性たちのグループが座席で飲んでいて、私はカウンターでウイスキーをなめていたが、あの人が指揮者の小澤さんの妹(姉?)さんよと教えてもらってそれとなくそっちを見た。どの人かと言うまでもなく、指揮者の小澤さんそっくりの女性がいた。なんとも特徴的な顔立ちで、女性としてまずい顔とは思わなかったが、さすがにここまで特徴がはっきりすると、いろいろ面倒かもしれないなと思ったりしたのを覚えている。

クリスマスオラトリオ

仕事が佳境で、とてもここに書く余裕がないのだが、やはりいつもの警告が出たので帰る前に少しだけ音楽のことを書いておこう。

今仕事を切り上げて聴いているのは前に書いたガーディナーのクリスマスオラトリオ。二枚組みのうち後半の4部から6部が入っている方。年末に少し前半の方を書いたが、後半のこれについては演奏日の説明と「すばらしい」と書いただけだったので補足だ。

今のところだが、本当のクリスマスに演奏される前半よりも、新年のこちらの方が大好きになった。最初の第4部は新年元旦にふさわしく静かでゆったりしたもので、まずこれがとてもよかった。まあリヒターの激しく荘厳なのを聴きすぎた反動もあるかもしれないが、こういう穏やかなバッハもとても素敵だ。リヒターのバッハは本当にすごいが、バッハにもいろいろあるから、かえってリヒターではふさわしくないものもあるのかもしれないと思ったりした。

そしてさらに圧巻と思ったのは第5部の冒頭の曲。何となくいつか自分が唱歌隊の少年のような気分になってしまい、もしも今年のようにこの曲が演奏されないような年がやってきたとしたら、本当に残念に思っただろうなと想像したような次第。

バッハとプラトン

今日は休みだが、やはり仕事半分で昼過ぎに事務所に出てきた。事務所ビルは今日から開いたばかりなので、とりあえず自分の事務所に届いた年賀状を読みながら、大晦日に書いたクリスマス・オラトリオの後半をかけた。

冒頭の第四部は「新年(キリストの割礼と命名記念日用)」と書いてある、同じく次の第五部は「新年後の日曜日用」とあるが、「ただし1月2日~5日の日曜日に限る」と厳しい但し書きがついている。今年の今日5日はまだ土曜日なので、演奏されない(できない)年に当ることになる。まあ私は信者でもないので、まあいいかと読み流すことにした。そして最後の第六部は「顕現節(1月6日)用」とあるから明日のことだが、これも同じ。

一通り聞いて、なかなかすばらしく、少し気分も高揚して、年末から読みかけているプラトンの「テアイテトス」を開いた。この全集版はプラトンとともに長年のファンである田中美知太郎氏の訳で、文庫版まで含めるとこれを読むのは若いときから数えてもう三回目以上にはなる(4回目か5回目か)。さすがに自分にとってはあまりの高峰で、今回はまだ出てこないがクライマックスの一つである有名な「想起説」より他は、前に読んでから15年くらいにはなると思うし、あまりよく覚えていない。今日で半分くらいのところまで来たが、議論が佳境(かきょう)になると、やはり表面をたどっているだけという感じがぬけない。でも訳者の熱もあるのか、ソクラテスの舌鋒はいつにもまして火を吹くように感じて、なかなか面白く読んだ。

一時間ほど読書のあと3時間ほど仕事して、またクリスマス・オラトリオをかけて聴きながらこれを書いている。

さて事務所に来てすぐ、玄関のポストに行ってたくさんの年賀状を掻き出したとき、見知らぬ封書が入っていた。裏を見ると「日暮里富士見坂を守る会」とある。開けるとカラー刷りのパンフレットと会の趣意書とともに、賛同の署名やコメントを書き入れるように印刷された官製はがきが入っていた。すぐに、このブログを読んで送っていただいたことが分かり、そのことはうれしかったが、その後うーんとうなってしばらく考え込んでしまった。でもそのことについては書くと長くなりそうだし、また後日にしよう。

2012大晦日

いよいよ大晦日。2012年ももうあと数時間を残すだけになった。

今年の年末は、最近では珍しく飲み会は少なかった。昔のレーモンド時代の仲間で集まる恒例の「赤垣会」は、いつも声をかけてくれる主催者といってもいい東京の岸君が、自宅の建替中で、工事が年末に間に合わず歳を越すそうで、春に延期になった。あと仕事の忙しさと日程も合わずで、建築家仲間の忘年会も欠席。大学の同窓会も仕事の都合で行けなかった。ボーイスカウトのも、選挙のおかげで新年会になった。だから今年は正式?な忘年会は一回だけで、最終日にスタッフたちに、青年海外協力隊に志望して福島県で訓練を受けてきた元スタッフのG君を加えて、内輪だけで好物(私のだが)のふぐを堪能した。G君は正月早々にはアフリカに旅立つ。きっとよき旅であらんことを。

さて最後はやはり恒例で音楽のことでしめくくろう。

ここにも書いたが、秋になってPCのスピーカーが壊れてしまったので買い替え、音楽を聴く環境が大きく変った(休日にしか聴かないが)。たまたまだがその少し前に久しぶりにCDを買っていた。二枚組みのバッハの「ブランデンブルグ協奏曲」で、シャイー指揮のゲバントハウス管弦楽団のもの。これを聴いて昔のレコードの記憶が久しぶりにまざまざとよみがえってきて、その後スピーカーの変化もあって、それからは何枚も買った。

今年の一枚をあげるなら、自分にとっては断トツの大差でリヒターのバッハ「ミサ曲ロ短調」。これはまあいろんな意味で圧倒的なものだった。聴いていると滝に打たれているような気分になり、本当に気が遠くなりそうになる。

今聴いているのはそれではなくて、やはりバッハの「クリスマス・オラトリオ」。ここに声楽曲のCDを何枚も買ったことを書いたが、その後しばらくして買ったのが、このCD。ガーディナー指揮でイングリッシュ・バロック・ソロイスツの演奏。モンテヴェルディ合唱団。

実はこの曲のCDを幾度か探しに行っていて、よいのが見つからず、しかたなくその都度他に目に付いたものを買っていたのだった。昔から手元に欲しかった曲だが、レコードでは結局、機会がなかったので、買ったときにはようやく自分のところに来たかという感慨があった。

今かけているのは二枚組みの一枚目。三部まで入っている。もちろんドイツの教会の暦などまったく知らないが、解説を読むと一部から三部は、毎日一部ずつ25日から27日にかけて演奏されるもの。CD2に入っている、以降の4から6部は新年の指定があるので、また年明けにでもあらためて聴こうと思う。

来たる年が本当によき年でありますように!!

バッハ ミサ曲ロ短調

久しぶりの連休。昨日またCDを買ってきた。今度は3セット。
まずバッハでリヒターの「ミサ曲ロ短調」。他に「マニフィカト+復活祭オラトリオ」とヘンデルの「メサイア」。最近しきりに声楽曲を聴きたかったので買ったが、見事にみんな宗教曲だ。まあ好きなのだから仕方がない。昨日は聴けず、今日は事務所へ出て来て、ボーイスカウトの団で昨年度の会計の締めや、国際委員として「日韓フォーラム」のアナウンスの作業などをやりながら聴いている。

ちなみに「日韓フォーラム」は日本連盟の主催で、来年一月に広島で開かれる。難しい時期だが、若人の交流は、政治に惑うことなく続いていってほしいものだ。

さて宗教曲ばっかりで多少気恥ずかしいので書くつもりはなかったのだが、最後にかけたリヒターの「ミサ曲ロ短調」があまりにもすばらしいので書く気になった。まだ今も横で盛大に鳴り、大勢で唱(うた)っている。

まあ書く気がなかったのは、昔のレコードで聞いていた時代の記憶がかなり危ういとこの前思い知ったのもある。これは確かミュンヒンガー+シュトゥットガルト室内管弦楽団ので聴いていた記憶があったが、これも危ういかもしれないと思ったら、記憶とはまったくと言っていいほど違い、確かに初めて聴く演奏だった。

そしてそれは圧倒的な迫力と緊張感に満ちた壮大なスケールの世界で、始まってまもなく、隣がいないのを確かめてヴォリュームを大きくし、ずっと茫然としながら聴いている。

昔聴いたミュンヒンガーのもすばらしく、十分満足していたので、リヒターのまでにはあえて手を伸ばさなかったのだろうが、本当にこんなにまで違うものとは思わなかった。