FC2ブログ

松田靖弘のブログ

仕事とする建築のことや大学で教えている緑のことなどをはじめ、自分の日常の些細なことまで含めて気が向くままに書いていきます。

久しぶりの京都

この前の祝日の月曜日に久しぶりに京都へ行ってきた。

目的地は観世会館。若手の能楽師 林宗一郎氏が復活?した、岡山は備前の国が舞台の「吉備津宮(きびつのみや)」を観に行ったのだ。はるか昔、おそらくはまだ吉備国の威勢が大和朝廷に匹敵するほどだった時代にできたと思われる古代の鬼退治伝説を主題とした物語能。

公演前半では東大の先生が舞台に上がり、復活にいたる今回の顛末からはじまり、物語の内容や背景などについて、かなり詳しい講演があった。それだけでも十分なくらいの中身の濃い内容で、なかなか面白かったが、なかでも、7.8年前に読んでとても印象深くて記憶に残っている中沢新一氏の「精霊の王」という本のことまで出てきて、「桃太郎伝説の深層」という今回の公演の副題がようやく腑に落ちた。

能自体も、とても面白く拝見したが、舞が多くて派手な印象。途中には、今回の内容からはずれてしまった吉備津神社の「鳴釜」の神事についての狂言まではさまり、かなり盛りだくさんの内容だった。少し説明がくどかったという感想もあるが、ご本人も言われていたように、これから時間をかけて内容も整理されていくのだろうと思う。

岡田以蔵の刀痕

上は、帰りに先斗町(ぽんとちょう)で飲んでから、帰り際に見せてもらった幕末の岡田以蔵の刀痕。確か土佐藩の脱藩浪人で、「人切り以蔵」という異名があったことくらいは私も知っているが、経歴などそれ以上の詳しいことはほとんど知らない。木屋町と先斗町の間の長屋の狭い路地にあり、知る人ぞ知るというようなものでも、最近見に来る人が増え、困った家主が路地入口に鍵をつけてある。それを特別に見せてもらったのだ。

古代の「鬼」のお話から幕末に実在した「鬼」へと、久しぶりの京都は深層世界の旅になった次第。

追伸
ここまで書き終えたのが昼の2時過ぎだが、そうしたらニュースが二つ飛び込んできた。
一つはオリンピックのフィギュアスケートの結果。復活した羽生(はにゅう)君が見事金メダル!日本には初めての金で、ようやくという感じだし、宇野君も二位に入ったとのことで、とにかくめでたい。
もう一つは将棋で、こちらの羽生(はぶ)氏の方は負けてしまったが、勝ったのが中学生の藤井君!これもすばらしい。
ということで、記念に付記しておく次第です。

2018初春

明けましておめでとうございます

2018年、平成30年の年が明けた。何となくいつにもまして寒い正月だったように思う。これはまあ体調を少し崩してほぼ寝正月で過ごしたために、あまり外へも出ず、こたつや寝床でごろごろと読書三昧ですごしたせいで、よけいにそう思うのかもしれない。ということで読書のことを。

読んだ本で一番よかったと思うのは、岩波少年文庫だが今江祥智氏の「ぼんぼん」。ずっと以前から読みたいと思っていた本なので、ようやくという感じでこの正月に格好の読書となった。感想は長くなりそうで省くが、戦時空襲の描写が本当に迫真的で、初めて少しは実感できたかと思ったくらい見事だったのは印象的。子ども目線というか、擬音の多用も含め描写が初々しくてまぶしいくらい。振り返れば悲惨な話しだが、渦中の人間のそれどころでない強い緊張と必死なまなざしが伝わってきた。余談としては最近、湯治で行っている和歌山の橋本が舞台の一つだったのは、偶然というより不思議なめぐり合わせさえ感じた。

あとまだ途中だが、司馬遼太郎氏の「韃靼疾風録」を面白く読んでいる。氏のこれまでのいわゆる歴史物とは違い、主人公の架空性が高い。氏の最後の小説だそうだが、「清」の勃興とおそらく(まだ途中だからよく分からないが)中国制覇までが背景だと思うが、物語の単なる背景というよりも、視線の強さからすると実はそこ(というよりその景色)をしっかり描かれたかったのではないかと思う。氏は確かご自身が満州に戦車隊として出征されたのではなかったか。読了すれば、氏のその当時の経験についても、少しは感じとることができるのかもしれないと思ったりする。

あと「中欧史」の本を図書館で借りてきて読んでいるが、東欧・西欧ではなくて北欧・南欧における中欧で、オーストリア、スイス、ルクセンブルク、オランダ、ベルギーの話し。これもまだ途中だが予想を超えて滅法面白い。やはりヨーロッパのことなどぜんぜん分かっていなかったと痛感。

さて上に書いた「韃靼疾風録」の前にやはり司馬氏の「箱根の坂」という後北条氏の始まりを描いた小説を読んだ。天下の険といわれた箱根の関のことが文化的地形的に初めてよく理解できたことも含め、とても面白かったが、その時からグーグルマップ(地形図)をあわせて見るようになった。おかげで「韃靼疾風録」や中欧史の本でも読みながら地形を確かめる癖がついたが、普通の地図で見ているよりもはるかに「立体的 肉体的」に分かるのがすばらしい。いい時代になったものだと本当に思う。

皆様にとっても本年がきっとよき年でありますよう

2017大晦日

昨日の続きを。
昨年末は、最後まで本当に仕事に追われて大変だったが、今年は穏やかな年末年始になりそうだ。まあ去年が異常だった。

さて仕事としている建築での話題を。春に見学に行った愛媛県は八幡浜の日土(ひつぢ)小学校と、夏に行った奈良の旧少年刑務所が群を抜いてすばらしかった。ともに古く、前者は私の生まれたころの建築だから築60年ほど。後者の刑務所はもっと古く、明治41年(1908年)竣工というから110年ほど前だ。

日土小学校は、ずっと以前から何となく知っていたものの、四国の瀬戸内海側というだけでどこにあるかもよく知らなかったが、いろいろ偶然が重なって場所も知り、思い切って出かけてきた。戦後の木造建築では最初の、国指定の重要文化財。何より近年大改修を受けた後も、小学校として使われ続けているのがすばらしい。だから普段は入れないが、年に3回見学会を催していてそれに行ってきたのだ。

建築は日本的洋風木造とでも言ったらいいだろうか。全体がペンキ塗り。当時はすでに、おそらく木造など古くさく、耐震防火の面から施設ではRCや鉄骨が主流になりつつあったと思うが、その時代に、ほぼ純木造で工夫を重ね、地元の大工と木材を使ってこれだけの規模の建築を作り上げたことは本当に見事だ。さらにディテールにまでこだわりが強く感じられ、各所でアイデアにあふれているところが一番すばらしかったと思う。

奈良のも重要文化財指定を受けた建物だが、刑務所として廃止されたのを受けて、新たな用途を募ってホテルへの改修が決まっている。それで最後の見学会と銘打ったものに応募したのだった。まあ以前から見たいとは思っていた建物だが、申し込んだ見学会ははずれであきらめていたら、人気が高かったのだろう、急遽申し込み不要の一般向けの見学会をするというので行ってきたのだ。

ただ天気は晴れでも夏の日盛りで、おまけに行ってみたら長蛇の行列。炎天下3時間汗だくになって待たされたが、並んだかいはあったと思えるような建築だった。これはおそらく建築的にはほぼ純洋風の建物。鉄骨と木造の混合で、構法はおそらくヨーロッパ建築の直輸入だろうか。まあ放射状の配置とか刑務所という作りの特殊性の面白さも大きかったが、やった建築家の息吹が生きていて工夫が縦横に感じられるのが何よりすばらしかったと思う。ちなみにその建築家はジャズピアニストの山下洋輔氏のお祖父さんだ。

長くなった。最後に音楽のことを少し。
9月に一枚のCDを買った。マーラーの交響曲第五番。バーンスタインがウィーンフィルハーモニーを振ったもの。なかなか面白くて時々聴いている。とくに第四楽章は絶品で、これを聴きながら書いてきた。

さて今年も残すところあと数時間。

来る年がきっとよき年でありますよう

今年も終わり

いよいよ、今年もあとわずかになった。恒例のしめくくりを

報道で一番印象に残るのはトランプ氏の顔だろうか。嫌と言うほど見せられたように思う。やかましく人騒がせというのは別として、確かに世界の潮流を大きく変えつつある。ただ無理も大きいように思うので、来年はどうなるだろうか。とりあえず賛同はあまりできないが、彼が出てきたことについてはヨーロッパの情勢といいそれなりの理由はあるように思う。

アメリカ建国時の、一時は世界を制覇したプロテスタンティズムの倫理と価値観がここにきて大きく力を失ってきたのだろうか。でも現代中国の持つ倫理ではそれに代われるわけもないし、イスラムにも自由と啓蒙はもとより、何より均衡と秩序が足りなすぎる。中東が第一次大戦時の火薬庫みたいになってきたが、欧米がやっかい払い?に強引に移植したイスラエルが、問題の困難さをさらに複雑にしている。エホバ?とアラーとキリストの父の三つ巴。時代が違うだけでおんなじ一つの神様のはずなのだが。

さて日本では九州北東部の豪雨がひどかった。前年の熊本地震の報道とも記憶が混ざってしまい、いたましい印象が強い。

明るい方では将棋での中学生の藤井君の活躍が印象に残る。年末にもう1人中学生活躍のニュースを聞いて忘れてしまったが、中学生というのが印象的。おそらくはまだ思春期の渦中だからだ。精神的激動の時代の現れのようにも思った。

仕事では、本当にいろいろとあったと思うが、結局は表立って書くことがあまりないようなのは残念だった。
来年に期待しよう。

さてここまではバッハのカンタータを聴きながら書いた。80番と147番。リヒター指揮のミュンヘンバッハ。とくに80番のフィッシャー・ディスカウの歌声は何度聴いてもすばらしいと思う。
続きはまた明日に。

千里山東の家2017


今日行ってきた以前手がけた千里の家の写真。
最初はLDから見た中庭の景色。ヤマボウシの紅葉があまりに見事で、コーヒーをいただきながらの雑談の途中で撮った。私の知っているヤマボウシの紅葉はもっとくすんでいて、こんなに赤く染まるのを見るのは初めて。今年は寒さが急だし、ここの中庭は空に開いていて、1階の低木はともかく高木にとっては多分なかなか居心地がよいのもあるのか。そんな自分の感想を言うと、最初はそうでもなかったが竣工数年後からは毎年こんな色になっていますとのことだった。

2017-11-25-2.jpg
小さな工事の確認のために行ったのだが、それは上のルーバーサッシの取り付け。少し値段がはるのでいったん中止になっていたのだが、やはりほしいということで実施になった。まあ場所は物干し。樹脂の固定ルーバーをつけていたのだが、強風だと少し雨が入るということで開け閉めできるものを要望され、少し探すのに苦労したが、要望に応えられるものが見つかり、提案していたのだった。

ただ私もカタログでしか見ておらず、どんな感じか確認の意味もあって出かけてきた。少し値段もはるが、見た目もなかなかしっかりした作りで、これならほかのところでもいろいろ提案できると思った次第。医師でもある奥様は超多忙なので、最初はご主人も含めわたしもそこまで必要かとも思ったが押し切って実現されたのだった。

竣工後もう8年以上経つが、昨年いくつか改修の要望が出たものの自分の方が忙しくてなかなか手が回らず、ようやくこの9月になって工事がほぼ終了し、それから追加工事として今日の工事となった。まあようやくこれで全部終了。最初に出かけたのは昨年の10月だったので、まる一年以上かかったということになる。それを話すと、みなさんもそう若くはないので(私が最高齢だが)、本当ですねと唱和されて笑いが広がった。

最後に9月にできた寝室の格子の写真をあげておこう。そのときにここに書こうとしたのだが、忙しくてそのままになっていた。今日あらためて見ると、自分で設計しておきながらだが、けっこう繊細で部屋のやわらかな仕切りとしていい感じになっている。最初は目隠しを要望されたので、ブラインドの検討などいろいろ曲折はあったが、最終的に奥様の決断でこれが実現した次第。
2017-09-02.jpg